卒業
「開会に際し、お願いがあります」
「最初に、携帯電話の電源をお切りください」
「写真は自席に座ったままでお願いします」
そんなアナウンスで始まりました。
3月9日は、長女の卒業式でした。
国立に引越して来たのは、小学校の卒業式の頃。
それから早くも6年が過ぎ、今では高校生。
春からは大学生です。
「大きくなったものだなぁ〜」と、しみじみ感じる父でした。
「卒業生の入場です」
そのアナウンスが聞こえた途端に、保護者席がざわざわ。
デジタルカメラを出す親やスマホを向ける親、はたまた携帯電話を鳴らす親…
(切っとけって言われたはずなのに…)
そして、娘達が入ってきました。
後ろから見ていたら全く大人です。
改めて「大きくなったものだなぁ」と実感。
私が高校を卒業したのは、約30年前です。
もうその頃の記憶は残っていませんが…
高校の卒業式って、卒業証書を一人ずつ手渡さないものでしたっけ?
昔からそうなのか、最近そうなったのかわかりませんが、とにかく、長女の高校では、一人ずつ名前は呼ばれるものの、卒業証書を受け取るのは代表の一人だけでした。
そして、なぜか、代表の一人だけは生年月日まで読み上げられる。
個人情報云々にうるさい最近の風潮を考えると、公衆の面前で生年月日を読み上げられると少しドキッとしますが…誰も気にしないんでしょうね。
中盤に差し掛かり、学校長の挨拶が始まりました。
「和田裕美さんが書いた著書である『失敗してよかった』に【陽転思考】という考え方が紹介されています」
「これから生きていく中では、様々な出来事があると思います。失敗することも、悲しいこともあるでしょう」
「でも、いくら泣いても怒っても、起きた事実は変わりません。だったらそれを良いことだと捉えらればいい」
「何かショッキングな事が起きたら『良かった』とまず言ってみる。それから、なぜそれが良かったと言えるかを考えるようになるんです」
「何でもポジティブに考えるべきだと言ってるわけではありません。嫌だと思う気持ちも大事なんです。でも、いつまでもくじけていても仕方がないので、気持ちを切り替えることが大事だと言っています」
抜粋するとそんな感じでした。
子供達が、学校長の言葉をどれだけ受け止められたかはわかりません。
もしかしたら、聞き流しているかもしれません。
仮にそうだとしても、子供達を責めるわけにはいきません。
だって、私もそうでしたから。
大事そうなことを言っている感じは何となく分かっても、「へぇ〜そんなものかなぁ〜」って感じだったはず。
だって、実際に大きな失敗をしたり落ち込んだりしないとわかりません。
大きな失敗をする前に知っておいて欲しいと思っても、大きな失敗をしてみないと伝わらないものですから。
うつ病についても同じです。
本当は、うつ病になる前に知っておいて欲しいことがいろいろあります。
でも、うつ病になったことがない方に話しても「へぇ〜そんなものかな」と思うだけなんです。
みんな、自分もうつ病になる可能性があるなんて思っていませんから。
それどころか「自分は絶対大丈夫」と思っている方がほとんどかも。
それも仕方がありませんよね。
私もそうでしたから。
でもね…
思うんです。
それでも、やっぱりうつ病になんてなって欲しくない。
私と同じような苦労はして欲しくはありません。
何度も再発を繰り返して、絶望するような経験はして欲しくありません。
だから…たとえ無駄になったとしても、話しておきたいと思うわけです。
きっと、学校長もそんな気持ちなのではないかと思う私なのでした。
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