それ、信じていて大丈夫ですか?
前回に引き続き、公認心理士になるために勉強した内容を共有します。
心理学に興味がある方、公認心理師になるための勉強に興味がある方に、読んで頂ければ幸いです。
『グラフィック心理学』
北尾倫彦/中島実/井上毅/石王敦子=共著 サイエンス社発行1997年
を読んでの抜粋
第4章 社会的認知
―――他者を知ることの仕組み―――
他者を認知する枠組みとして
1.個人的親しみやすさ
2.社会的望ましさ
3.活動性
の3つの次元があるといいます。
しかし、これらの軸で何かが明確に測れるわけでもなく、あくまでも印象です。
また印象も、入手する情報の順番によって大きく変わってきます。
例えば、
A氏:知的―勤勉―衝動的―批判的―頑固―嫉妬深い
B氏:嫉妬深い―頑固―批判的―衝動的―勤勉―知的
と聞いた時、A氏とB氏のどちらに好意を頂きますか?
このように、同一内容の順序を逆にした2つのリストを用いて印象を評定させると、一般に望ましい特性が最初の部分に出現するリストの方が好意的な印象が形成されるものなのです。
これは、最初のいくつかの項目で、その人に対する大体の印象が決まり、それ以降の項目はあまり影響を与えないことを示しています。
(この現象を、初頭性効果と呼ぶ)
だから、初対面で不機嫌そうな感じがすると、その人はずっと不機嫌な人だという印象を持ちがちです。
この人は怒りっぽい人なのかなぁ。
毎日、何に腹を立てるんだろうか。
そんなに怒っていて疲れないの?
って、推測したり。
ちなみに、他者や自分の行動の原因や理由を解釈し推測する過程は、原因帰属あるいは『帰属』と呼びます。
そんな私達も、物事に対するとらえ方や行動の仕方が変わったりします。
これを態度変容と呼びます。
有名な話かもしれませんが、相手の態度変容を促すのに有効としれる説得の仕方としてフット・イン・ザ・ドア技法があります。
まず承諾しやすい小さな依頼をし、段階的に依頼を行うことで本来のより大きな依頼を行うという方法です。
また、私たちは物事を認知する時に同じものを他者がどのように認知しているかによって影響を受けます。
とくに集団の中にいる時には、同じような捉え方や行動を求める集団圧力が生じ、その影響を強く受けることが多いといえます。
このように、集団圧力により、集団で優位を占める見解や行動へと自分の認知や行動が変化することを「同調」と呼びます。
一方、私達は様々な集団に関して、特徴づけた内容を信念として頂いています。
・こういう人達は、こう言いがちだ
・こういう人達は、こう考えがちだ
・あの人達は、そう行動しがちだ
別にそういう人達と会ったり話したりしたことがなかったとしても…
このような、固定的で実際的経験に乏しい信念の根拠は希薄であることが多いんです。
(これを『ステレオタイプ』と言い、人種的ステレオタイプ、職業的ステレオタイプ、性的ステレオタイプなどがあります)
まとめは、ここまでです。
改めてまとめてみると、昔から言われていることと同じだと思いました。
人は第一印象が一番大事。
郷に入れば郷に従え。
長いものには巻かれろ。
昔からの言葉には『社会的認知』が盛り込まれているのかもしれません。
だから、目新しいことはないのかもしれませんが…
私たちは、ついつい忘れがちです。
私達の信念が、いかに様々なものの影響を受けやすいものなのかを。
第一印象、得た情報の順番、勝手な推測、集団の圧力、思い込み…
そして、こういったことが人に影響を与えることを知った上で、悪用する人もいます。
もしかしたら、いま私達が正しいと思っていることは、誰かに操作されたことなのかもしれません。
誰かに言われたこと、何かで読んだこと、周りがそう思っていること…
私達が信じていることは、経験したことに基いていることばかりではないですから。
あなたが信じていることは、あなたの経験に基いたことですか?
次回は5章を紹介したいと思います。
第5章は『感情・動機づけ』。
ご興味がある方は、お楽しみに。
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