私達は外界をどのように知るか
前回に引き続き、復習を兼ねて勉強した内容を共有したいと思います。
心理学に興味がある方、公認心理師になるための勉強に興味がある方に、読んで頂ければ幸いです。
『グラフィック心理学』
北尾倫彦/中島実/井上毅/石王敦子=共著 サイエンス社発行1997年
を読んでの抜粋
第1章 知覚
まず最初に「私達には、存在しないものが見える力が備わっている」ことを実感して頂きたいと思います。
如何ですか?
真ん中に、実際には存在しないはずの、白い三角形が見えませんか?
このように、欠損している情報を補って完結化させようとする、視覚系の働きを『主観的輪郭』と呼びます。
また、複数の図が、バラバラなものではなく相互にまとまりをもって見える働きもあり、これを『知覚的群化』と呼びます。
さらに私達は、いろいろな手がかりを利用して、2次元の情報を3次元の広がりとして知覚する力もあります。
また、こんな体験はありませんか?
電車に乗っていて、駅で並んで止まっている反対方向への電車が動き出した時に、思わず自分の乗っている電車が発車したと思うこと。
このように、静止している対象が、相対的に動いて見える減少を誘導運動と呼びます。
人には、1瞬で見たもの覚える力があります。
それも1秒の20分の1という長さで見たものを覚えられるんです。
(アイコニック・メモリーと呼ぶ)
ただ…持続時間は長くありません。
見たものを口に出して説明しているうちに、忘れていくようなほどです。
パターン認知って聞いたことがありますか?
文字や人の顔を見た時、それが何であるかを認識する力です。
それには「記憶にある形と照合している」と言う説(鋳型照合モデル)や「特徴を分析してから照合している」という説(特徴分析モデル)があり、特徴分析モデルの代表的なものには、パンデモニアム・モデルがあります。
このように、見たままの映像である低次レベルの処理から高次のレベルへと進んでいく処理をデータ駆動型処理またはボトムアップ処理といいます。
一方、知識や期待などに基づいて、刺激の知覚や認知が影響を受けることを概念駆動型処理またはトップダウン処理といいます。
また私達には、多くの情報の中から特定のものだけを抜き出して捉える力も備わっています。
例えば、大勢の人が集まる騒がしいパーティー会場でも、私達は、特定の人との会話を続けることができます。
これを『カクテルパーティー効果』と呼びます。
如何でしたか?
「えっ?これって心理学なの?」
って思いませんでしたか?
私は思いました。(笑)
昔からよく言われる、目の錯覚とか脳の中でどんな処理が行われているかなんて、人の心と関係なくない?
そう思いました。
でも、こうやってまとめてみる中で気づいたことがあるんです。
それは、
「人は、見たいものを見たいように見ている」ということです。
言い換えると「目に映ったことを、そのまま認識しているわけではない」ということです。
目の前にないものを補ったり…
見たものをすぐに忘れたり…
記憶にある近いものに寄せたり…
興味があるものだけに絞ったり…
だから…
「この世界は、辛いことばかりだ」と思えば、辛いことばかりが見える。
本来は辛いことじゃなくことでも、辛いことのように補ってしまったり。
全てを、辛いことに変換したり。
どうせ頭の中で変換するなら、幸せなことに変換する方がいいですよね。
「この世界は、幸せなことばかり」と思って。
あなたには、どう見えてますか?
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