「サンタさんに言うよ」という脅し
「嫌だ嫌だって言ってると、サンタさんに連絡しておくよ」
小さな男の子にお母さんが話しかけていました。
急に大人しくなって、迎えのバスに乗ろうとする男の子。
見ていて、少し不安に思いました。
「お父ちゃんがサンタさんなの?」
初めて娘からそう聞かれた時、私は戸惑いました。
幼い娘の夢を壊したくなかった。
でも、嘘もつきたくなかった。
だから…
「お父ちゃんが世界中の子供たちにプレゼントを買って回れるはずがないやんか」
そう言って誤魔化したんです。
嘘はついてないんですが…
真実をはぐらかしたのは事実なので心のどこかで気になっていたんです。
「あんなことを言わなきゃよかったなぁ」
って思うことって、結構覚えているものですよね。
謝るほどの話でもないかもしれないけど、なかったことにはできない話。
忘れてしまえればどんなに楽だろうかと思うけど、忘れてしまえない話。
気にしなくてもいいのかもしれないけど、気になってしまうようなこと。
もしかしたら、あの子のお母さんも本当は「なんでサンタさんに言うとか言っちゃったんだろう」と思っているかもしれません。
「サンタさんがいないことを知ったら、あの子は怒りをぶつけてくるかもしれない」
と不安に思ってるかもしれません。
言ってしまう前に言うのを止められたら一番いいんでしょうけど。
まぁ、言ってしまったものは仕方がないんですけどね。
今では娘達も高校生。
もうサンタさんのフリをする必要もないし、サンタさんを信じてもいないはずです。
でも「あの時、はぐらかしたよね」なんて責められたことはありません。
はぐらかしたことを覚えてないかもしれませんし、仮に覚えたとしても、その時の私に悪意はなかったことは、娘達にもわかっているはずです。
それに私は「サンタさんに言うよ」なんて脅したことはありませんし。笑
もしもそんな脅し方をしていたら、さすがに文句を言われたかもしれないですね。
「あの時、騙して脅したよね」
って。
いつかはあの子も大きくなって大人になります。
そして、いつかは結婚して親になるかもしれません。
その時になれば分かってくれるのでしょうか。
お母さんは騙すつもりではなかったいうことを。
脅したいわけでもなかった。
ただ、駄々をこねずにバスに乗って欲しかっただけ。
そして、お母さんとしての仕事を、ちゃんとこなしたかっただけ。
そして、何よりも一番大事に思っていたということ。
何よりも愛していたということを。
彼もいつかは気づいてくれるだろうか。
そんなことを思っていました。
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